雑誌「週刊文春」に、伊達公子さんと阿川佐和子さんの対談記事がありました。
伊達さんが自身の引退や現在のテニスについて語られています。
一部を抜粋して紹介します。
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最初の引退は精神的重圧
阿川 最初の引退は怪我が原因?
伊達 怪我じゃないですね。もちろん肩もギリギリな感じではあったけど、なにより精神的にきつくて。
当時は世界に行くアスリートは野茂(英雄)さんくらいしかいなくて、メディアからのプレッシャーがすごかった。携帯電話もなければブログもない時代で・・・。
阿川 えっ?携帯やブログはあったほうが良いんですか?
伊達 やっぱり怖かったですよね。何か喋っても、マスコミに切り取られて使われることで全然違う意味になったりすることってあるじゃないですか。
いまだったらブログで自分の気持ちを発信することもできますけど、当時の私は不器用だったのもあって”メディア嫌い”というイメージが固まってしまい、精神的に追い詰められてました。
阿川 じゃあ、テニスが苦痛になったわけじゃなくて・・・。
伊達 テニスも苦痛でしたよ。練習も嫌いだったし。
阿川 練習が嫌いで世界四位にならないでくださいよ(笑)。じゃあテニスが楽しかった時期というのは?
伊達 プロになって一年目くらいまでかな・・・。他にも世界ランクでトップ10に入ったとき、その一瞬はうれしかった。
引退から復帰後伊達さんを知らない選手と対戦も
伊達 全日本選手権ももよくてベスト8、そこまでいければ十分かなと思っていたので。
阿川 続々若い人も出てきているでしょうしね。対戦相手は「伊達さんに憧れてテニスを始めました」みたいな世代だろうからねえ?
伊達 いやいや、憧れるどころか「知りません」という人たち(笑)。
阿川 ええーっ!そんなことあるんですか!?
伊達 本当ですよ。なんとなく映像では観たことありますけど、くらい。私のプレーが記憶にあるような年齢の子じゃないです。だって錦織(圭)君でも、私のプレーの記憶ないんですもん。
阿川 ウッソ!恥ずかしながら告白いたしますと、かつて私も大学でテニス同好会に所属しておりまして。そのときはボールを見る、速くラケットを引く、ゆっくり振る。この三点が大事だって教わったんですね(笑)。
伊達 アハハ、分かりますよ。
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今と昔の違い グリップやプレースタイル
阿川 それがいまのプロの選手を見てると、軟式テニスのようにボールを引っ叩くと言いますか。卓球みたいなスイングになっちゃって。伊達さんが十年以上のブランクがあって戻った際にはテニスの違いって感じられました?
伊達 それは全然違いました。まずグリップから異なりますから。
阿川 グリップも違うんですか?
伊達 私は「握手するように」と言われて育った世代だけれど、いまの子達は置いてあるラケットを上から握る感じで、軟式に近いですね。むしろ軟式より厚く握ってるかもしれない。
阿川 プレーの中身はなにか違いました?
伊達 もうスピードがまったく変わってました。ちょっとの隙があるとみんな打ってきますもん。それまでは、ラリーをしていてもどこかで一本抜いたような球があった。それがカーン、カーン、カーンってもうひたすら。
阿川 攻撃ばっかり?
伊達 うん。粘ってても打つ(笑)。
(「週刊文春」2018年2月15日号(Amazon)120~124ページを参考にしました)
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