前ページ・パターン3からの続きです。
 
最初のページ・パターン1はこちら

 

 
このコンテンツでは、ショットのパターンというより、ポジションのパターン・傾向を紹介します。

パターン4 ポジションを前にして、早いタイミングで攻める

錦織選手は以前より、ベースラインに近い位置でプレーするようになりました。
 
これはつまり早いタイミングで返球するようになったことを意味し、相手からの深いボールをライジングで返さなくてはいけません。
 
これは難易度の高い技術のためミスもしやすいのですが、錦織選手はこのパターンでトップ選手と争っています。
 

 
クルム伊達公子選手もライジングを武器にしており、小柄な選手が世界のトップと戦うにはライジングが必要不可欠な技術であることがわかります。
 
錦織選手の場合、ギアを上げるとさらに前進する傾向があります。フォアの場合、左足がベースライン上か内側に入ってきたら、それは錦織選手がギアを上げているサインです。
 
錦織選手がこのパターンを多用するようになったのは、2014年からです。
 
5月に行われたマドリード大会では、イレギュラーしがちなクレーコートで、しかも深く返ってくるフェレール選手のボールをライジングで返していました。
 
これはもはや神業の域に達しており、実践できるのは錦織、クルム伊達選手以外ではフェデラー、アガシ、マッケンローくらいではないかと辻野氏は解説しています。

このパターンを成立させるポイント

このパターンを成立させるカギは以下の三つです。
 
■小柄な選手がトップで戦うため、ライジングは必要不可欠な技術
■お尻を落として重心を下げてミスを減らす
■軸を保って身体を回転させて打つと安定度が増す

 
辻野氏の解説です。

打点は前にする

ライジングは相手からのボールのスピードを利用するので、打点は前にするのが大切。
 
テイクバックを大きくして食い込まれては意味がないので、テイクバックは小さくてOKです。
 
錦織選手の場合、踏み込んだ左足はベースライン上か、その付近にあります。
 

お尻を落として安定させる

スタンスは広げず、イスに座っているように見えるくらいの広さで。
 
スタンスを広げすぎると、体重移動を使ったスイングになりがちなので、ミスが増えてしまいます。
 
膝を曲げるだけでなくお尻を落とし、重心を下げるのもポイント。これによりショットが安定します。

頭の位置が動かない、軸で回るスイング

打つ前から打ち終わりまで頭の位置は変わりません。
 
これは身体に軸ができていて、軸を中心に身体が回っていることを意味します。このスイングが可能になるとライジングでもミスが抑えられます。
 
軸で回るスイングを実現するためには、強力な腹筋と背筋が必要になります。
 

スイングはコンパクトに

フィニッシュでは右足はあまり前に出ません。大きく前に出ている場合、身体が開きすぎてスイングが大きかった証拠。
 
ライジングではコンパクトなスイングのほうが安定します。
 
このコンテンツはスマッシュ 2015年 02月号(Amazon)74ページを参考にしています。
 
錦織選手のスイングが連続写真で解説されています。理解を深めたい方は参考にしてみて下さい。

テニス・ジュニア選手育成プログラム
【ミナミグリーンテニスクラブ代表 倉林愛一郎監修】
ジュニア選手上達に必要な倉林コーチ独自の練習内容・トレーニングメニューが実演・解説されています。メールサポートの特典付きです。