雑誌「週刊文春」に、伊達公子さんと阿川佐和子さんの対談記事がありました。
伊達さんが一度引退してから復帰後に全日本で勝てた理由や悩まされたけいれんについて語られています。
一部を抜粋して紹介します。
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復帰後の全日本で優勝できた理由と「腹が立つ」こと
阿川 そんな変化の中、(管理人注:引退から復帰して)最初の全日本の結果は?
伊達 (はにかみながら)それが、優勝しました。
阿川 なんちゅうこっちゃ!
伊達 しかもシングルス、ダブルスの両方で。
阿川 ゾンビみたい・・・(笑)。
伊達 もちろん勝つことは楽ではなかったけれど、テニス界に衝撃は走りました。十二年間休んでいた人間が勝ったわけだから、一生懸命練習していた他の選手はなにをやっていたんだと。
阿川 そりゃそうだ。
伊達 私としてはそんな打撃を与えるつもりじゃなかったから、複雑でしたね・・・。
阿川 どうして伊達さんは復帰してすぐにガンガン勝ち抜いちゃったんでしょう?
伊達 ひとつは私の球筋が若い子にとっては見たことがないもので、合いづらかったのかなと。あとはテニスって技術やバワーだけじゃなくて、メンタルのスポーツでもある。若いときは一つの負けで「もう人生終わり」みたいに落ち込むわけですけど、そこは経験がありましたから。切り替えが上手くなりましたね。
阿川 復帰後にうまくいかなくて腹が立つこととかなかったんですか?
伊達 それはありますよ。テニスの技術はたいしたことない相手に、パワーやスタミナだけでやられてしまったときは、「もうちょっと身体さえ動けば」と悔しく思うことはあった。でもそれがいまの自分だし、分かった上でのチャレンジでしたから。あとは試合中に自分を客観視できるのも大きかったかな。
阿川 自分のプレーを俯瞰で見られるってこと?
伊達 ええ。でもそれにはデメリットもあって、経験上相手はこういうときはこんな風に動いてくるとか、見えすぎちゃうんです。裏の裏をかこうとしすぎて自滅したこともありました。
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けいれんに悩まされる 対策や予防法は
阿川 とはいえ三十七歳で復帰されて約十年間、第一線でプレーし、再びグランドスラムの舞台にまで立たれて、終盤は怪我が多かったみたいだけど。
伊達 カムバック当初は、痙攣に悩まされることが一番多かったですね。
阿川 若い頃は痙攣はなかったんですか?
伊達 なかったんですよ。汗もかかないタイプだったのが、汗っかきになっていて、ふくらはぎとか、太股はしょっちゅうなんですけど、一度、ラケットを握る指から腕まで痙攣しちゃったことがあって。
阿川 そんなの試合できないじゃん。治す方法はあるんですか。
伊達 試合中の場合はストレッチをしますね。でも相手がいるから、見えないようにごまかしながらするんですけど、ひどいときは隠し切れなくなりました。痙攣を未然に防ぐため、塩分、ナトリウム系のものを摂り、前日から水分をたくさん摂るんです。もう試合中に胃から水分が上がってくるくらい。
阿川 ウェッてなりそう・・・。痙攣のほかには?
伊達 肉離れはしょっちゅうで、大きかったのはふくらはぎかな。肘、いわゆるテニスエルボーも痛かったし、指の骨を折りながら試合するのもきつかったんですけどねえ。
阿川 嬉しそうに言わないでくださいよ。好きなの?痛みとか。
伊達 いやいや嫌いですよ(笑)。でも怪我は若い選手も含めみんなありますから。
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