特に持久系のスポーツをしている方であれば、カーボローディングについて一度は見聞きしたことがあるのではないでしょうか。

実践した経験のある方も少なくないでしょう。
 

 
かくいう管理人も何度か実践しており、個人的には効果を実感したものです。
 
しかしサッカー日本代表・長友佑都選手は、カーボローディングはおすすめしない、という考えだそうです。
 
その理由などを、長友選手の著書「長友佑都のファットアダプト食事法 」81~85ページを参考にしています。


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カーボ・ローディングの弱点 多くのスポーツには不要?

長友選手はこの件について、「スポーツ選手にカーボ・ローディングは必要?」というタイトルで解説されています。
 
まずは長友選手によるカーボーローディングの説明です。

ファット・アダプテーションが行われる以前、スポーツ界で盛んに行われていたのは、カーボ・ローディングと呼ばれるコンディショニング法だった。カーボとは糖質のこと。運動中の脂質代謝ではなく、糖質代謝に目を向けて考え出された方法である。
 
カーボローディングでは、肝臓と筋肉に貯めるグリコーゲンを増やそうとする戦略を採る(このことからグリコーゲン・ローディングと呼ばれる)。
 
古典的な方法は次のようなやり方だ。
 
レースや試合などの本番の7日前から4日前まで食事全体の糖質量を抑えながら、糖質を使うようなハードなトレーニングを行う。体内のグリコーゲンをできるだけ消費するのが狙いである。
 
次に本番の3日前から当日まで、食事全体の糖質量を増やす。
 
グリコーゲンが減った体内では、グリコーゲンを合成する酵素の活性が高まっている。そこへ大量の糖質を摂り、グリコーゲンの貯蔵量をV字回復させる作戦だ。これで肝臓の筋肉のグリコーゲン量は最大2倍にも増えるとされる。
 
古典的な方法は糖質量を抑えながら高強度の運動を行うため、体調を崩す恐れがある。そこで考え出されたのが、次のような改良法だ。
 
改良法では、本番7日前から4前まで通常の食事を行い、トレーニング量を徐々に減らしていく。次に本番の3日前から当日まで、食事全体の糖質量を増やす。こうすると、グリコーゲンの浪費を抑えながら、グリコーゲンがローディングできる。

この糖質をたくさん貯蔵する仕組み自体が、カーボローディングの弱点となり得ると長友選手は考えています。
 

 
つまり、たくさん貯めた糖質がエネルギーになるため、脂質を使う機能が働かないのです。
 
長友選手の解説です。

カーボ・ローディングでは糖質の貯蔵量は増やせるが、見過ごされている弱点がある。糖質の摂取を増やすと血糖値が上がり、インスリンで脂質が効率的に使えなくなるのだ。
 
これでは糖質の貯蔵量をいくら増やしても、持久力が高まるという保証はない。

長友選手は、意図的にカーボローディングを実践した経験はないそうです。
 
一般的に、2時間以内で終わる運動のエネルギーは体内で蓄えられているグリコーゲンでまかなえるからです。サッカーは多くが1ゲーム90分間で終わるので、カーボローディングの必要がありません。
 
プレー時間が2時間を超えるスポーツはいくつもありますが、競技の途中に栄養補給できることがほとんどです。
 
これを考えれば、カーボローディングが有効なスポーツはかなり限られます。
 
しかしこれだけでは、NG(やるべきではない)な理由とはいえません。
 
長友選手は別な理由を挙げています。

カーボローディングがNGな理由

上でも紹介したように私も実践した経験があるほど、カーボローディングは一般の競技者にも認知されています。
 
それだけにNGと言われるとちょっとショックです。
 
長友選手はこのように考えています。

日本人のように食後高血糖を起こしやすい体質のランナーが、カーボ・ローディングを行うのは危険。
 
本番の3日前から当日まで高糖質の食事を行うと、食後高血糖と血糖値スパイクが起こりやすい。そしてカーボ・ローディングのたびにすい臓からインスリンが大量分泌される。肝臓と筋肉に糖質をグリコーゲンとして貯めるのも、インスリンの働きだからだ。
 
一生に一度の思いで作りにフルマラソンに出るというなら害は少ないが、ランニングにハマって1年間に何度も大会に出るようになり、そのたびにカーボ・ローディングを行っているとすい臓が疲れてしまい、インスリンを出す力がダウン。その結果、血糖値が下げられなくなる糖尿病になるリスクだって考えられる。

カーボローディングでは、当然ですが糖質を大量に摂取します。
 
たまに実践するのであればそれほど心配はありませんが、頻繁に行うとさすがに高血糖の影響は出てくるでしょう。
 

 
体質や競技頻度、カーボローディングの効果の出方など個人で違いはありますが、カーボローディングを長期で行うかもしれないという方は、脂質をエネルギーに変えることも意識してみてはいかがでしょうか。
 
別コンテンツ「鏑木毅氏 体脂肪をエネルギーにする体質を作るには」も参考にしてみて下さい。
 
鏑木氏もカーボローディングは行わず、脂質で活動することを意識したトレーニングを行っています。