卓球の水谷隼選手が自身の著書「打ち返す力」で、競技における心理戦について語られています。

対戦相手の心を探る戦いは、試合中だけではないようです。

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打ち返す力 最強のメンタルを手に入れろ
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同書の54~59ページから、一部を抜粋して紹介します。

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対戦相手を注意深く観察する卓球 日常生活でも

水谷選手によると、卓球プレイヤーの多くは”相手を観る”力に長けているそうです。

私を含め、卓球選手の中には観察眼が優れた人が多い。
 
目の前に座っている人が疲れていたり、悩みを抱えてはいないか。口数が少なく、退屈していないか。お酒は足りているか。食事をするときにも、相手の振る舞いをよく観察して気を遣う。
 

この能力は対戦を重ねる過程で磨かれたものです。

対戦相手の癖を注意深く観察するのは、卓球選手にとって基本のキだ。
 
国際大会で強豪選手がプレーするときには、観客席からライバルの選手の戦い方をじっとウォッチする。もちろん動画はいつも何度も再生して研究している。
 
「中国の××選手は、最初の一本目では絶対にロングサービスを出す」
 
「韓国の△△選手は、こういう場面で勝負サービスを出すことが多い」
 
「ドイツの▲▲選手は、競ったときには必ずこういうプレーを仕掛けてくる」
 
選手の癖や細かい情報は、自分の目で注意深く観察したうえで全部の頭の中に詰まっている。そのデータのおかげで勝った試合はたくさんある。
 

データとして蓄積されるのは”どんな球を打ってきたか”だけではありません。
 
相手の動作のあらゆることが対象になります。

試合中も、相手が放ってきた一球一球の球筋や戦術は、脳内のデータベースに逐一インプットされていく。相手の表情の変化、立ち居振る舞いも重要な要素だ。
 
卓球はメンタルのスポーツなので、心がブレればすぐさまプレーもブレてしまう。
 
サーブを出そうといったん構えたのに、打つのをやめて仕切り直す。汗の量がやたらと多く、しきりに汗をぬぐっている。そういうとき、相手選手はこちらの想像以上に緊張しているものだ。
 
だからミスを怖れてシンプルに攻めてくる。自分の目に飛びこんでくる視覚情報を分析して、相手が次に何をやってくるか読み取っていく。

これは対戦相手も水谷選手を観察していることを意味します。
 
それを利用して、水谷選手は相手にトリックをしかけることがあります。





滅多に出さない隠し玉 「動揺しているフリ」のブラフ

水谷選手はごくまれに、相手が自分を観察していることを利用し、演技をします。
 
相手に間違った分析をさせるのです。

めったに出さない隠し玉がある。
 
「水谷隼は動揺している」と相手選手に勘違いさせるため、わざと動揺しているフリをする。
 
ブラフ(ハッタリ)をカマすのだ。
 
あからさまに嫌な顔をして表情を曇らせたり、苛立った素振りを見せる。焦って動揺しているフリをする。相手がブラフに引っかかってくれれば儲けものだ。
 
動揺している素振りを見せながら、私の心の中は穏やかな水面のように落ち着いている。
 
「水谷隼は動揺している。今はチャンスだ!」と相手が前のめりになっているのに、こちらはまるで動じていない。こうなれば、相手が打ってきた一本が悪手になる。
 
相手の裏をかいた心理戦によって、試合の流れをガラッと変えることができる。こういう心理戦も卓球の魅力であり、絶妙なおもしろさだ。
 

卓球という競技は、こうした頭脳戦の側面も強いのです。
 
それをよく表した、石川佳純選手の言葉も紹介されています。気になる方は、本書をチェックしてみて下さい。





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