パワーリフティング選手の大谷憲弘選手は、2015年6月に行われた全日本パワーリフティング選手権74kg級で優勝を果たしました。

パワーリフティングはスクワット、ベンチプレス、デッドリフトの3種目の最大挙上重量の合計を競います。
 

 
大谷選手のトレーニングについてまとめます。
 
(この記事は、雑誌「Tarzan」2015年10/22号(Amazon)130~133ページを参考にしています)

大谷憲弘選手の記録とトレーニングメニュー

大谷選手が優勝した際の記録は以下のとおりです。

スクワット 305.5kg
ベンチプレス 225kg
デッドリフト 260kg
(トータル 790.5kg)

 
この日本一の記録は、どのような鍛錬によってつくられるのでしょうか?
 
大谷選手のトレーニングは5週間をひとつの区切りとしています。5週間練習したら、1週間休むというルーティンの繰り返しです。
 
そして、さらに5週間を4日ごとに区切ります。
 
1日目 スクワット
2日目 ベンチプレス
3日目 デッドリフト
4日目 補助的運動

 
運動強度は、最初の1回の4日間はごく軽い重量で行い、あとは自分のマックスを狙っていく練習を5週間ずっと行います。




TABATAプロトコルのやり方と効果 行う理由は?

最後に「TABATAプロトコル」というトレーニングを行います。
 
これは20秒間激しく動き、10秒休むを8セット繰り返すトレーニングです。
 
究極の科学的肉体改造メソッド タバタ式トレーニング(Amazon)

 
最大酸素摂取量を上げるのに絶大な効果があるとされる運動ですが、パワーリフティングに最大酸素摂取量はそれほど必要とされていません。
 
このトレーニングを行う理由を、大谷選手は次のように語っています。

練習では力を出し切るようにしたい。TABATAプロトコルではそれが可能なんです。
 
もちろん、このトレーニングをやったからって重量を挙げることには直接繋がりません。ただ、カラダのベース作りはできる。
 
つまり、このトレーニングで作ったカラダでパワーリフティングの練習をより向上させていけるわけなんです。
 

TABATAプロトコルは、重量を挙げて記録を伸ばすためというより、練習の効果を高めるために行っている、というのが正解のようです。
 
アスリートは参考になる考え方ではないでしょうか。




試合運びの流れ 試技での重さの選び方

大谷選手は、2012年優勝、13年準優勝、そして14年と15年は二連覇の偉業を達成しています。
 
Tarzanの記事には試合運びについての大谷選手のコメントもありました。

効率良い練習のやり方や、質や量の上げ方も自分で把握できるようになったし、リカバリーの方法もわかってきた。
 
それに、試合の運び方も確立することができました。
 
プレイヤーによって違うと思いますが、私の試合の流れは、まず第一試技では練習でのマックスの90%くらいの数字で行います。これは10回やったら、10回成功する重量です。
 
そして、第二試技では95~97%、第三試技では練習で持ったことのあるマックスで行います。
 
第三試技の重さは挙げるタイミングや気持ちやカラダの調子によって、不確定なところがある。だから第二までできっちり取って、第三で冒険するといった感じです。
 
あとは相手がいますので、それに勝つための重量を選ぶこともポイントになってきますね。

すでにベテランの域に達している大谷選手(2015年時点で35歳)ですが、「40歳まで大丈夫(本人談)」なので、最終的な目標は世界選手権およびワールドゲームズでの優勝です。