モーションキャプチャーをつけて、DFと1対1で対峙する実験では、ネイマール選手の重心移動にも目を引く特徴がありました。
 
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筑波大学でサッカー選手の身体動作を研究している浅井武教授は、ネイマール選手の身体の動きを次のように解説します。

「ボールを動かしながら相手の重心を傾かせる。筋肉が緊張するために相手が最も体勢を戻しにくくなった瞬間に、一気に逆方向へ加速している」

DFの重心の動きを察知してから、ドリブル動作に入るまでの時間はわずか0.12秒。日本代表クラスの選手でも0.28秒かかるとされています。
 
ネイマール選手の反応がこれほど速いのは、対峙するDFの重心の掛かり具合を無意識のうちに察知し、相手を抜く動作をとれるからと考えられています。
 
 
ネイマール選手のプレイで際だったポイントがもうひとつあります。それは、ボールを蹴る場所です。
 
サッカーでは一般に足の甲でボールを蹴りますが、ネイマール選手は足の甲の中でも特に「スイートスポット」と呼ばれる場所で蹴るのです。
 
浅井教授の解説です。

「親指の中足骨の付け根というスイートスポット(最も効率的に力が伝わる箇所)でしっかりミートしている。
プロ選手でも、できる人は少ない」

足で「グー」を作ってみて下さい。その状態で、曲がっていない足の指の骨(一番長く、足の甲にあたる)が「中足骨」です。
 
親指の中足骨の付け根が、ネイマールのスイートスポットになります。一般的なイメージよりもかなり上、足首に近い側と感じないでしょうか?
 
実際に、多くの平均的な選手がボールをミートする位置は足の甲とつま先の中間あたりと言われています。
 
対してネイマール選手はスイートスポットでボールをとらえ、つま先をボールに巻き込む(包み込む)ようにして力を逃がさず、ボールに伝えています。
 
この蹴り方により、細身の身体に似合わず強烈なシュートを繰り出せるのです。
 
ネイマール選手の父、ネイマール・シニアさんは、息子に独特の指導をしていました。

「私は幼い息子の足をつかんで、シュートのときにボールに当てる場所を少し強くつねることにしていました。その場所で蹴ると、ボールの飛び方が全然違うということを教えたくてね」

ネイマール選手を目指したい選手は、このスポットで蹴るよう意識してみてはいかがでしょうか。