つばぜり合いはお互いの身体が接近し、文字通り鍔同士が競り合っている状態を言います。
つばぜり合い自体で一本は取れませんが、相手の体勢が崩れるなど、打突の機会が生まれやすい瞬間でもあります。
つばぜり合い直後を逃さないよう打突しましょう。
香田郡秀 教士八段の「剣道 練習メニュー200」から、出ばな技の打ち方・ポイントをまとめます。
(このコンテンツは(このコンテンツは「心・技・体を強くする! 剣道 練習メニュー200」(Amazon)116~121ページ、および232ページを参考にしています。本書では画像つきで解説されています)
つばぜり合いを打突の機会として活かす
本来は積極的に打突の機会を作るための動作ですが、試合ではつばぜり合いが時間稼ぎや休憩に使われるケースが見られます。
つばぜり合いは打突の絶好の機会なので、相手の体勢が整っていなければ思い切って技を出しましょう。
つばぜり合いからの打突例を紹介します。
つばぜり合いからの引き面打ち方
技を仕掛けてつばぜり合いになった瞬間に引き面を打ちます。
・技を仕掛けて相手に体当たりをする
・打突の勢いを利用して相手を崩す
・相手が押し返してくる力を利用して身体を引きながら面を打つ
押し返す力を利用した引き面
つばぜり合いの状態から相手の手元を押し、押し返してくる相手の力を利用して引き面を打ちます。退がりながらの打突になりますが、腰が引けては力が伝わらなくなります。身体を引くときは腰を意識し、姿勢を崩さすに打突しましょう。
・つばぜり合いで相手の手元を押す
・押し返してくる力を利用して間合いをとる
・直後に相手の面を打つ
つばぜり合いからの引き小手打ち方
つばぜり合いの状態から相手を崩し、身体をさばきつつ相手の小手を打ちます。
引き小手では、引く時に身体を左斜め後ろにさばくのがポイントです。この動きにより、打突が容易になるのです。ただし身体をさばいたら、必ず相手に正対して技を出しましょう。
・つばぜり合いで相手の手元を押す
・押し返してくる力を利用して身体を左斜め後ろにさばく
・相手の手元が伸びきったところに小手を打つ
つばぜり合いからの引き胴打ち方
つばぜり合いから相手を崩し、身体を引きつつ相手の右胴を打ちます。相手の手元を押し下げて、押し返してくる瞬間を狙います。引き小手と同じく、打突時に腰が引けてしまわないよう注意しましょう。
・つばぜり合いで相手の手元を上から押し下げる
・手元を戻そうと押し返してくる力を利用して間合いをとる
・刃筋を正しく右胴を打つ
つばぜり合いでの反則行為
最後に注意点をひとつ。
つばぜり合いで
・鍔ではなくこぶしを合わせる
・竹刀を裏に回して相手の竹刀を押さえ動きを封じる
(いずれも下記参照)
といった行為は反則をとられることもあるので気をつけましょう。
つばぜり合いでの反則行為をまとめます。
1 つばとつばが競っていない
つばぜり合いではお互いのつばが接触していなければいけません。つばが離れ、こぶしでの押しあっているような場合は反則になります。
2 逆交差になっている
自分の竹刀を裏にまわして逆交差(お互いの右手の甲が合わさるような状態)にし、相手の竹刀を長時間押さえ続けるような行為は反則です。
3 上から押さえつける
つばぜり合いの状態から、上から押さえつけるようにして相手の竹刀を制すると反則になります。
4 後ろ(自分側)にはじく
相手の竹刀を裏から引っかけ、手前にはじいて動けない状態にする行為は反則です。
つばぜり合いからの一本が決まりやすい9パターンも香田八段が実演・解説されています。