落合博満さんが著書「決断=実行」で、中日の監督時代に荒木雅博選手に伝えた言葉について解説されています。
その狙いは何だったのでしょうか?またその言葉はチーム戦力にどのように貢献したのでしょうか。
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決断=実行
※サンプルを読む・Kindle版あります
同書の27~30ページから一部を抜粋して紹介します。
「アウトになってもいいから走れ」
落合監督が荒木選手に伝えたのはこちら。
「アウトになってもいいから走れ」荒木雅博にはそう伝えた。
私が監督に就任した時の荒木は26歳で、8年目だから若手というよりは中堅クラスだ。ただ、一軍に定着したのは5年目からで、まだ絶対的なレギュラーとはいえなかった。
それでも、前年の秋季キャンプで体力があることとスピードを備えているのはわかったので、レギュラーとして使いきるイメージは持っていた。
ただ、どんなに練習で技術を磨いても、それを実戦でフルに発揮するのは簡単なことではない。だから、思い切って走れるように背中を押すような言葉を選んだのだと思う。
走る判断を任された結果、荒木選手は盗塁の球団記録を作ります。
一塁に出塁した時は、自分の判断で二塁を企てるよう求めた。
04年に39盗塁で優勝した際、荒木はインタビューで「監督から『アウトになってもいいから走れ』と言われたので、思い切って走れた」と言っていたが、ここから6年連続で30以上の盗塁をマークし、16年には高木守道さんが持っていた球団記録の通算369盗塁を追い越したのだからたいしたものだ。
「アウトになっても…」には落合監督のこのような狙いが込められています。
「アウトになってもいいから走れ」という表現には、私なりの野球の方法論が織り込まれている。
(中略)
戦術的に走ってほしくない場面では「走るな」というサインを出すから、それ以外は自分で二盗を狙えと指示し、アウトになっても何も言わなかった。
アウトになって一番悔しいのは走った選手本人である。
アウトになったことを叱責されるのではなく、それでも「走れ」と言われれば、次はどうにかセーフになりたいと考える。その”考える”ことが大切なのだ。
選手が「どうすればいいか」を考えるので、最初は思うような結果が出なくとも、だんだん洗練されてきます。
これは、10%の戦力底上げの一環でもあるし、何より常勝チームを作るには、選手が自分の考えや判断で動けるようにしなければならなかった。
はじめのうちは荒木が思い切ってスタートを切れず、二番の井端弘和は荒木が走るのを待っているうちに2ストライクに追い込まれてしまう。だが、井端にも自由に打っていいと伝えていたので、打てるボールは積極的にスイングするようになる。
次第に、荒木が二塁へスタートし、井端は右方向に打ち返してランエンドヒットの形になり、一、三塁のチャンスを作ることができるようになった。
その確率が高くなれば、初回の攻撃で手堅く送りバントをするより、荒木と井端に任せておけば、一、三塁にしてくれる。
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各選手がこうして研鑽を続けるので、チームが強くなるのは道理です。
そうして相手のベンチが、どのタイミングでその戦術を用いるのか分析しようと試みても不可能である。
なぜなら、私のサインで動いているのではなく、荒木と井端が自分で考えて行動しているからだ。
私が率いていた8年間は、こうして選手たちが自分の考えや判断で動くケースが多かった。これが、常に優勝を争うことができた大きな要因だと感じている。
「自分の判断で走れ」は好き勝手できて気楽にも聞こえますが、そこはプロ。結果を残せなければレギュラーではいられません。自分で必死に試行錯誤することになります。
もしかするとベンチの指示をひたすらこなすほうが楽なのではないでしょうか。
野球だけでなく他の競技、さらにはその他の職業でも同様かもしれません。
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