前ページに続き、ランニング中に発生する体の不調に関してとりあげます。
 
上半身のコリや足にできるマメなどに関する牧野仁氏の解説です。
 
Q&Aの問答形式です。

Q 上半身が凝るのは?
A 肩甲骨を使おうとするから。
 
走る時には誰でも、肘を曲げて腕を前後に動かします。これは重力に逆らった動きなので、上腕二頭筋だけでなく肩甲骨やその周辺も使った動作になります。
 
長距離ほどこの動作を続けることになるので、脚に筋肉痛が起きるのと同様に、上半身が凝るのは当然なのです。
 
そして近年は、”肩甲骨を使った走り”を実践するランナーも増えています。この走りは場合によっては、上半身の疲れを増す結果につながることもあります。
 
牧野さんの解説です。

「肩まわりの筋肉が柔らかく、可動域も広ければ、走りながら肩甲骨を上下したり、寄せたり引いたりして脚を前に出すことも可能ですが、多くの市民ランナーは肩甲骨の挙上(押し上げること)しかできないので、かえって背中が固まるのです」

無理に肩を動かすのではなく、とりあえず胸を張るだけでも自然と腕が振りやすくなります。
 
また、下の回旋運動を行うことでもコリがほぐれます。
 
・脇をしめて両手を肩の前に置く

・肩を上下前後に回しながら肘を外→内へとリズミカルに動かす
 
これだけでも肩の力が抜け、腕が大きく振れるようになります。
 
Q 乳首がすれて痛いのは?
A ウェアがぶかぶかだから。
 
靴との摩擦で足にマメができるのと同じ原理で、ウェアが乳首と擦れると痛みます。
 
予防には絆創膏が広く使われているようですが、牧野さんは次のように解説しています。

「女性はスポーツブラが一般的なのでまず心配ありませんが、男性ランナーはコンプレッションウェアを素肌に着るのが一番の予防策。
 
それ一枚で走ってもいいですし、大きめのウェアが好みならその上から着用するといいでしょう」

それでも心配なら、乳首にワセリンを塗っておきましょう。汗と混ざると多少シミになりますが、すれて痛い思いをするよりは良いでしょう。
 
Q 爪先やかかとにマメができるのは?
A 靴下が良くないから
 
走った後、頻繁にマメができる理由を、牧野さんは靴下に問題があるから、としています。

「普通のスニーカー用のソックスだと、全体的に伸縮性のある柔らかい素材を使っているため、着地を繰り返すたびに靴の中で足がずれ、さらにはソックスの中でも足のズレが生じます。
 
これが足のマメができる大きな原因。
 
また超長距離や混雑気味のレースでは着地で爪先に力が入るのでマメができやすいと言えます」

足との摩擦が無ければマメはできないので、ソックスもシューズもランニング専用のものを選びましょう。
 
牧野さんは、5本指モデルでアーチ部分の収縮性が高くなっているものです。ズレが最小限になるので、マメの予防に効果的です。
 
 
牧野さんの解説は以上です。
 
痛みや不調への対策を適切に行い、ランニングを快適なものにしましょう。
 
以上のコンテンツは雑誌「ターザン」2015年10月22日号56~57ページを参考にしました。