応じ技は相手の技をさばいた瞬間に打突するのが理想です。
受けっぱなしになるのではなく、いつでも反撃できる体勢で応じることが重要です。
「応じ」と称してただ受けているだけではいけません。
(このコンテンツは香田郡秀 教士八段の「心・技・体を強くする! 剣道 練習メニュー200」(Amazon)128~133ページを参考にしています。本書では画像つきで解説されています)
応じ技全般に共通するポイント
応じ技にはすり上げ技、返し技、抜き技、撃ち落とし技などがあります。
香田八段は応じ技を重視されていて、
「応じ技ができないと段位が上がるにつれてどんどん勝てなくなります。逆に応じ技がうまくなると決めやすくなります」
と解説されています。
応じ技全般に共通する注意点は以下のとおりです。
・一足一刀の間合いで構え合う
・相手を攻め、竹刀や身体でさばいて応じる
・応じと打突が一連の動作になるようにする
このコンテンツでは、応じ技のうちのすり上げ技の打ち方やポイントをまとめます。
すり上げ技の打ち方
すり上げ技は表・裏と呼ばれる打ち方があります。
表のすり上げ
表のすり上げは、相手の打突を竹刀の表鎬(左側)で受け、そのまま左半円を描くようにすり上げます。相手の竹刀の中ほどをすり上げるようにします。
裏のすり上げ
裏のすり上げは、相手の打突に対し身体をやや前か左にさばきつつ、竹刀の裏鎬(右側)で受けます。そのまま右半円を描くようにすり上げます。
面すり上げ面の打ち方
鎬の使い方を理解し、相手の面を表鎬で正しくすり上げ、面を打ちます。
剣先で半円を描くようにして相手の竹刀をすり上げます。竹刀が半円の頂点まで来たら、そのまままっすぐ振り下ろし、刃筋正しく打突します。
・遠間で構え合う
・相手を誘って面を出させる
・相手の竹刀の中ほどを、表鎬を使ってすり上げる
・刃筋正く、物打ちで面を打つ
小手すり上げ面の打ち方
相手の小手を裏鎬を正く使ってすり上げ、面を打ちます。
相手の動きを待ってすり上げると打突が遅れます。自分から前に出つつすり上げることで、すり上げと打突を一連の動作で行うことができます。
・遠間で構え合う
・相手を誘って小手を出させる
・右足を前へ出しながら、裏鎬を使って相手の竹刀をすり上げる
・刃筋正しく物打ちで面を打つ
小手すり上げ小手の打ち方
相手の小手を裏鎬で小さくすり上げて小手を打ちます。
すり上げ技は、相手が前に出てくると間合いがすぐに詰まってしまいます。
物打ちで相手の小手を打つには、すり上げと同時に身体をわずかに左にさばいて、打突しやすい間合いをとるようにしましょう。
・相手の小手を裏鎬で応じる
・わずかに身体を左にさばき、裏鎬を使って相手の竹刀を小さくすり上げる
・手首のスナップを利かせて小手を打つ
突きすり上げ面の打ち方
突きをすり上げると同時に身体を右にさばき、相手に正対して面を打ちます。
この場合、他のすり上げ技よりも小さくすり上げます。相手の竹刀が直線的に飛んでくるので、動作が大きいと間合いが詰まってしまうからです。
・相手の突きを表鎬で応じる
・身体を少し右にさばきながら小さくすり上げる
・相手に正対して面を打つ
香田八段によると、「面すりあげ面」などは多くの生徒や剣士から質問が寄せられる技なのだそうです。