車いすテニスの国枝慎吾選手は、08年のテニスパラリンピックで車いすテニスの4大会完全制覇を果たし、同年の北京パラリンピックでは全試合ストレート勝ちで金メダルを獲得しました。
国枝選手のラケットのグリップには「俺は最強だ」と書いてあります。
これは以前、メンタルトレーナーから課されたある特訓が元になっています。
その特訓とは、レストランで「俺は最強だ!」と叫ぶというもの。
最初は小声でしか言えなかった国枝選手ですが、トレーナーから「それじゃぜんぜん最強じゃない」とハッパをかけられ、ついに意を決し「俺は最強だ!」と叫びました。
恥ずかしくて仕方なかったそうですが、叫んだことで国枝さんの中で「壁」が崩れました。
「こんな場所でも言えるのだからどこでも大丈夫!」と自信がつき、それからは世界レベルの試合でも自信を持って戦えるようになったそうです。
スポーツ競技のみならず、研究や芸術など、何かを「究める」際には、「目線の高さ」がよく取り沙汰されます。
日本チャンピオンを目指している人と、世界チャンピオンになろうと頑張っている人で、どちらがより技量を向上させるかは、言うまでもありません。
ある競技者が、「優勝以上のものを目指さないと、優勝するのはムリ」と言っていたのを聞いたことがあります。
似たような心構えは、研究や芸術の分野でも必要とされるはずです。
「2位じゃダメなんですか」などという放言は論外中の論外であり、探究することがわかっていない人間の言うことでしかありません。
国枝選手の「俺は最強だ」グリップは、目線の高さをキープし忘れないためのものでもあるのでしょう。