自転車という「道具」に乗るトライアスロンのバイクでは、その道具の使いこなし方が記録を左右します。
特にバイクは長距離を乗り続けるため、少しの使い方の違いが大きな差を生むのです。
雑誌「Tarzan」の2015年 11/12号に、中島康弘氏によるバイクのポイントに関する記事がありました。
一部を抜粋して紹介します。
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- ターザン 2015年11/12号
体幹の力:踏む力を効果的にペダルに伝えるために必須
中島氏は2000年のシドニー五輪、08年北京オリンピックのトライアスロンチームをサポートし、現在は湘南ベルマーレトライアスロンチームのヘッドコーチを務められています。
「Tarzan」の記事では、バイクにおける体幹の使い方を中心に解説されています。
一定の速度で走っている時は、脚の力だけでペダルはストント落ちますが、速く走ったり、今回のテーマの上りでは強い力を加えないといけない。
その時重要なのが体幹です。
生み出す力を無駄なく活かすためには体幹が働かなくてはいけません。
ペダルを強く踏み込むと、反作用で腰を浮かせる力が生まれます。
体幹を安定させて、それをしっかり受け止めれば力が無駄なく効率的にペダルが伝わるようになるんです。
脚で生み出した力が上半身に逃げてしまうのを防ぐのが体幹というわけです。
しかし、いくら体幹を安定させても、足で踏み込めばお尻は浮いて(=力が逃げて)しまいます。これはイスから立ち上がる動作を考えても明らかです。
この対策はどうすれば良いのでしょうか?
そこで大切なのが、ハンドルを持った腕が自然に自分の方へ引き付けられる姿勢をとることです。
こうすることで尻をサドルに押し付ける力が生まれる。そして、その力を尻へと伝えるのも体幹の仕事です。
ここで中島コーチが挙げる、シッティングとダンシング(いわゆる立ちこぎ)でのポイントを挙げます。
シッティングのコツ
・バイクに乗ったら、体幹を安定させるために、まず腹を凹ますぐらいに軽く締める。すると背すじはやや丸くなるが、これが正しいポジション
・肩甲骨を軽く寄せて下げ、脇を締めると自然にハンドルを引き付ける力が働く すると体幹がテコのような働きをして、お尻がサドルに押しつけられる ペダルを強く踏み込んでもお尻の浮き上がりが防げる=より大きな力で漕げる
ダンシングのコツ
・「ダンシングはバイクを倒すこと」という認識ではダメ
・体幹のポジションは、シッティングとほぼ同じ サドルから尻を浮かせて、やや後方に移動させる
・ペダルを踏み込むと、踏み込んだほうへバイクは傾く すると傾いた分だけ力が相殺されてしまう そこで体幹を安定させて、踏み込んだ側の腕を引き、逆側は押し出すことで車体の傾きを抑える
・重心はペダルの上に位置させ、体幹を脚の真上に留める これで力が逃げない
・体を左右に振ってしまうと、ペダルの上に重心が乗らないため、力が入らない
・ペダルを踏み込むのは、円運動の頂点から60度下がったあたりまで
ダンシングに関して、中島コーチの補足解説です。
ダンシングではより強い力で踏み込むので、シッテイングよりも腕を強く引く必要があります。
ただし、力を入れすぎるとロスが生じる。
力を入れつつ肩甲骨をリラックスさせ、踏み込んだ側の腕を引き付ける。そしてもう一方の腕は、逆に押す。
こうすることで、バイクの傾きを最小限にして踏み込んだパワーを逃がさずにペダルに伝えられるんですね。
ちなみに、ハンドルを握る時は中指、薬指、小指でグリップします。親指と人差し指に力が入ると、肩甲骨を寄せにくくなってしまいます。
このコンテンツは、雑誌 ターザン 2015年 11/12号 44~45ページを参考にしました。