ベンチプレスで100kg上げるのは容易なことではありません。
パワーリフティングの荒川大介・孝行選手によると、これだけの重さを上げるには筋肉だけではなく神経も発達させる必要があるそうです。
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誰でもベンチプレス100kgが挙がるようになる本
お二人は著書「誰でもベンチプレス100kgが挙がるようになる本」でその件について解説されています。
同書の87ページから、一部を抜粋して紹介します。(この本は参考になります!)
高重量を挙げるために「神経系統」を鍛える
荒川選手は「記録を伸ばすためには、三つの大事な要素がある」としています。
ベンチプレスに限らず、ウエイトトレーニングの記録を伸ばすためには「筋肉」を鍛えることが必要です。
しかしながら高重量を挙げるようにするためには「筋肉」以外にも、筋肉を支えるための「骨」や、正確に正しいフォームでおこなうための運動神経、つまり「神経系統」の3つを満遍なく鍛える必要があります。
他にも記録を伸ばすための要素はいくつもありますが、重要な要素がこの3つになります。
神経が大事なのは、正しいフォームを身につけるためというわけです。
フォームが間違っていると記録が伸びませんし、何よりケガのリスクも高まります。
しかし「神経を鍛える」といわれてもイマイチピンとこない方も多いでしょう。
荒川選手の解説です。
ウエイトトレーニングで筋肉や骨を鍛えるということに関しては、イメージしやすいと思います。フリーウエイト種目であるベンチプレスも当然筋肉のみならず骨にも重い負荷をかけることができます。
身体に負荷をかけることで、筋肉も発達しますし、筋肉を支えている骨も当然強く、たくましくなり、記録を伸ばす上での土台になります。
しかしながら「神経系統」を鍛えるということについてはイメージがしづらい人も多いと思いますので説明いたします。
身体を動かしているのは「神経」です。脳からの指令により神経が筋肉を動かします。
分かりやすい例で言うと、右利き、左利きです。右手と左手の筋肉や骨の量はほとんど変わりません。しかしどちらの手のほうが文字をきれいに書けるか、箸を使いやすいかは、利き腕によって変わります。
右利きの人が左手を同じように器用に動かすためにはそれなりの練習が必要です。
ウエイトトレーニング、特にベンチプレスのようなフォームの習得が難しいフリーウエイト種目においても、まったく同じことが言えます。
身体をうまく動かし高重量を挙げるようにするためには、繰り返しフォーム練習をおこない「神経系統」を鍛えていかなければいけないのです。
「できない」もしくは「やっていない」動きをできるようにすることが神経を鍛える、ということになりそうです。
神経を鍛えるにはどうする?やり方 7~10回反復できる重量で
ベンチプレスの場合、神経を鍛えるには「軽い重量から無理なく少しずつ重量を上げていく」のが正しいやり方です。
一口に「鍛える」と言っても、各要素によってその方向性は異なります。
筋肉は量を増やす、骨は密度を高める、神経系統は質を高めていく、と捉えるとわかりやすいと思います。
筋肉は1、2回しか挙げられないような重量でのトレーニングではなく、7~10回前後反復できる重量でトレーニングをすることで、成長させることができます。
骨は筋肉を鍛える過程で自然に密度が増して強くなっていきます。
神経系統は常に高重量を扱うのではなく、余裕のある軽い重量から始め、ある程度の期間をかけてフォームを習得しながら重量を少しずつ上げていく練習を繰り返すことで、初めて鍛えることができます。
簡単にまとめると「無理のない軽い重量からおこない、毎週少しずつ重量を上げていく」ということです。
神経系統がピークに達するまでの日数とキープできる期間
神経系統が完成するには早くても2ヶ月はかかるようです。
神経系統が鍛えられ、その時点での神経系統の質がピークに達するのは平均して8~10週前後かかると言われています。(年齢やトレーニング歴、その他のさまざまな要素で個人差があり、その期間は異なります)
この質の高まった神経系統の調子がピークを維持することができる期間は長くて2週間ほどと言われています。ピークに達してしまうと重量の伸びはストップします。
そこで焦って重たい重量に何週もチャレンジし続けるのではなく、またトレーニング重量を下げて、また数週間かけてトレーニング重量を上げていけば良いのです。
筋肉と骨と神経系統とがうまくバランスをとりながら成長していくことで、身体は強く大きくなります。
意外と時間がかかる印象がありますが、ここであせってはいけません。
3つのなかのどれか1つでも、そのトレーニングがおろそかになってしまっては、長期的に見て最大筋力を高めて記録を伸ばすことはできません。
3つをバランスよく鍛えるためにはがむしゃらに毎日高重量にチャレンジしたりするのではなく、無理のない重量から始めて、毎週少しずつ扱う重量を上げていくことが、ベンチプレスを伸ばすための基本の取り組みと言えます。
ベンチプレスに限らず筋トレを実践している方は、この荒川選手の考え方を参考にしてみて下さい。
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