雑誌「ランナーズ」2016年3月号に、「マラソンは脳力」という特集がありました。
 
走っている最中に「調子が悪い」「脚が重い」といったネガティブな意識が生まれると、それがフィジカルにも悪い影響を及ぼし、実際に調子が悪くなってしまう経験はないでしょうか?
 
言い換えるなら、気の持ちよう(=脳)で走りも変わる、ということですね。
 
それでは、走りをサポートする考え方をする=脳力を上げるにはどうすれば良いのでしょうか?
 
東京工芸大の山本正彦准教授は、以下のようなポイントを挙げています。

1 前半からポジティブであるべき 
力を発揮するには、体力が限界に達する前からポジティブでいる必要があります。練習不足を自覚していても、目標をあえて低くしたり、どれくらいのタイムで走れるかな?と楽しむ気持ちで前向きになりましょう。
 
2 チョイきつでも話せる 
前半から飛ばしすぎるとグリコーゲンの消費が激しくなります。グリコーゲンがなくなると、脳のエネルギーもなくなって脳力を活かせなくなります。「少しキツいけど話せる」ペースをキープしましょう。
 
3 市民ランナーは脳がストップをかける 
トップ選手は少々の痛みでも走れますが、多くのランナーは疲労感や痛みを感じると失速してしまうことが多くなります。普段きついトレーニングをしていないので、身体を限界まで動かす前に脳がストップをかけるのです。
 
また、レース中は脳も疲労し、身体へ命令を出せなくなったり意欲が落ちることもあります。
 
4 脳をいかにだますか
レースの最後まで身体を動かし続けるには、「楽しい」や「嬉しい」といった気持ちを持ち、脳に「辛くない」と思わせることが大切です。また、脳のストッパーを外すには、脳を負荷に慣れさせるだけの練習が必要です。
 
山本准教授が勧めるのは、5kmや10kmなど短い距離のレースや練習です。比較的ペースが速くなるので、より多くの情報が目から入り、脳のトレーニングになります。これはレースで特に疲れる右脳(情報を処理する働きがある)の鍛錬になります。
 
また、息が上がる苦しさを経験することは、リミッターを外すことにもつながります。川内優輝選手が倒れるほど追い込めるのも、1500mや駅伝といった短い距離にも挑戦しているから、と山本准教授は考えています。
 
 
ちなみに、以下のチェック項目に当てはまる数が多いほど、脳力を開発する余地が大きいと考えられます。
 
■日常編(練習編)
・ジョギング以外はほとんどしない
・いつも一人で走っている
・走るところは整備された平地
・サプリメントはなんとなく飲む(レース編と共通)
 
■レース編 
・途中どこかが痛くなるが、レース後はそこまでダメージがない 
・つい苦しい顔をして走ってしまう 
・毎回定める目標は一つだ 
・応援を見ている余裕はない 
・あまり給食は食べない 
 
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雑誌ランナーズ 2016年 03月号8~9ページを参考にしました。
 
上手に走れば記録は伸びる―僕がすすめるマラソントレーニング