マラソンの安藤友香選手は、2017年3月に行われた名古屋ウイメンズマラソンで、レース初参加ながら日本人トップの2位でゴールしました。

タイムは2時間21分36秒で、これは初マラソンでの日本人最高、歴代でも4位となる驚異の記録でした。

安藤友香選手独特のフォーム 腕をほとんど振らない

安藤選手が注目を集めたのはタイムだけではありません。独特のフォームも話題になりました。
 
両腕をだらりと下げてわずかに曲げた状態で前へ進む様子は、「忍者走り」とも呼ばれています。
 
長距離に限らず、ランニングにおいて腕の振りはとても重視されており、「どのように振るか」の指導はかなり念入りに行われます。
 
しかし安藤選手の場合、下ろした腕は「ほとんど振らない」といって過言ではありません。並走する他の選手と比べれば、腕の曲げ方や振り幅の違いが際立ちます。
 
定石を覆すフォームですが、体力のロスを防ぐメリットがあります。高橋尚子さんは「完成形のような走り」と高く評価しています。




里内正幸コーチ「腕はどんな振り方でもOK」大切なのは重心

ウイメンズマラソン当時に安藤選手が在籍していたスズキ浜松ACは、実業団にしては珍しく駅伝に出場せず、マラソンの練習に専念しています。
 
安藤選手のフォーム確立には、里内正幸コーチの独自の考え方が大きく貢献しています。
 
里内コーチは腕や脚を「振り子」だと考えていて、「重心部分さえしっかりしていれば、腕はどんな振り方でも構わない」という考えです。
 

 
その考えに基づき、長い距離をいかに効率よく走るかを突き詰めた結果、「忍者走り」にたどり着きました。腕の振り方だけを特殊にしたわけではないのです。
 
安藤選手には2020年の東京マラソンにぜひ出場し、この「忍者走り」で好記録を出してほしいものです。
 
(安藤選手は2019年2月ワコールに移籍されています)