「ストレッチは筋力を低下させる」という説があります。
 
これを根拠にして「筋トレ前はストレッチしないほうがパフォーマンスが上がる」と主張されることがあります。


 
パワーリフティングの荒川大介・孝行選手が著書「誰でもベンチプレス100kgが挙がるようになる本」で、トレーニング前のストレッチについて解説されています。
 
結論から書きますと、荒川選手はトレ前のストレッチはやったほうが良いという考えです。
 
同書の32~33ページから、一部を抜粋して紹介します。(この本は参考になります!)

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誰でもベンチプレス100kgが挙がるようになる本

筋トレ前のストレッチでケガ予防 神経伝達と体の動きやすさもアップ

ストレッチによる筋力低下は解剖学でも確認されています。

「ストレッチをすると筋肉が緩んで良くない」そんな説を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
 
確かに解剖学で見ると、ストレッチをすると筋肉(張力)は弱くなります。
 

「ストレッチはいらない」とする主張には複数の理由があるそうです。

ストレッチ不要論を唱える方は主に二つのタイプがあって、一つがこのパターン。筋肉への影響だけを見てストレッチは良くないと主張する方です。
 
もう一つのタイプは、優れた肉体的素質を持っている方です。このタイプは、ジムに来ていきなりベンチプレスをやっても、100kgを持ちあげてしまうような人です。
 
優れた肉体的素質を持っているので、身体をほぐす必要がなく、ストレッチをしないで筋肉が固まった状態でやったほうがうまくいく時期もあります。
 
20代前半の若い方は、若さゆえの特権でストレッチしなくてもトレーニングに支障がないという方も多いです。
 

肉体的な素質がなくとも、ストレッチにより筋力が低下するならストレッチはやらない方が良い、と考えるのは自然です。
 
それでも荒川選手はストレッチは必要、とされています。
 
それはなぜでしょうか?

筋力低下よりもメリットが大きい 筋トレ前のストレッチ

荒川選手は「ストレッチ不要論を上回るプラスの効果」として、ストレッチをするよう勧めています。
 
というのも、たとえ肉体的素質に恵まれているタイプでも、長い目で見るとストレッチしない弊害が表れてくるからです。

しかしこのタイプが3年後、5年後にどうなっているかというと、多くの場合、業界から姿を消しています。
 
おそらく、どこかを故障したり、年齢に応じたストレッチをしていないため、身体が動かなくなったりしてしまったのでしょう。
 
確かに筋肉だけにフォーカスするとマイナス面があるとしても、総合的に考えると、ストレッチをすることで得られるプラスの効果は、マイナスをはるかに上回るものです。
 
しっかりとストレッチをすることで、神経の伝達が良くなったり、加齢によって過収縮している部分がほぐれて動きやすくなったりと、筋トレをする上で良いことのほうが多いのです。
 

ある程度の年齢に達した人は、特にストレッチの重要性が高まります。

日常のトレーニングがでは時間が限られていて、どうしもストレッチがおろそかになってしまうという人もいると思います。
 
それでも肉体的素質がないと自覚している人や、年齢的に30歳を超えた人は、時間をとってやったほうが良いでしょう。
 
パフォーマンスアップという部分では、トレーニング前のストレッチは必ずやるようにしてください。
 
少し込み入った話をすると、トレーニング前の10分や30分のストレッチでは、身体は完全にはほぐれません。
 
常に身体の姿勢を意識したり、家に帰った後にほぐしたりと、積極的にやっていかなければいけないくらい重要なものです。
 
ただ、なかなかそこまでやるのは難しいと思うので、まずはトレーニング前に股関節、肋骨、胸骨、肩関節といった部分の動きにかかわる、大きい筋肉をしっかりストレッチする習慣をつけていきましょう。

本書にはやるべきストレッチが具体的に紹介されています。参考にしてみて下さい。