雑誌「週刊ポスト」に、「スポーツ史上最驚の”大逆転・大番狂わせ”」という特集がありました。
 
その中で、1973年1月2日に東京両国・日大講堂で行われた、WBA世界フライ級タイトルマッチ大場政夫対チャチャイ・チオノイ戦の記事がありました。
 
この試合で、チャンピオン大場選手は試合開始すぐ右足首をねん挫してしまいます。


その壮絶な試合内容を、元「ボクシング・マガジン」編集長の山本茂さんが解説されています。

以下に抜粋して紹介します。

強気なファイトスタイルで知られる大場が開始早々、強烈な右ロングフックを受けてダウン。明らかな油断だった。
 
8カウントでようやく立ち上がるが、右足首を捻挫してパンチを受けるたびに酔っぱらいのように体が揺れる。いつ倒れてもおかしくない状況だった。
 
一方、チャンピオンをダウンさせたチャチャイには”いつでも倒せる”という余裕ができた。結果的に、それが命取りになる。
 

 
”ゆっくり料理しよう”と考えるタイのベテランに対し、最終ラウンドまでもたないと判断した大場は、倒すか倒されるかの戦いを挑んだ。
 
まさに、驚異の逆襲。12ラウンド、立て続けに3回のダウンを奪い、チャチャイをKO。
 
「いま」にすべてを出し尽くす大場の生き方が凝縮された一戦だった。
 
そのわずか23日後、大場は運転するスポーツカーで大事故を起こし、23歳でこの世を去る。伝説的な逆転勝利が、大場のラストマッチとなった。

このコンテンツは雑誌週刊ポスト2016年11月18日号(Amazon)19ページより抜粋しました。