超高齢化社会といわれる昨今、「サルコペニア」という言葉が注目されています。
サルコペニアとは、ギリシャ語で肉・筋肉を表すsarxと減少・消失を意味するpeniaを組み合わせた造語で、「筋肉の減少」を意味します。
サルコペニア自体が”病気”というわけではなく、ただの老化現象なのですが深刻な不調の原因となりえるので対処が必要です。
以下にサルコペニアが良くない理由やセルフチェック基準を紹介します。
(このコンテンツは雑誌「栄養と料理」2014年 09月号(Amazon)86~89ページを参考にしています)
サルコペニアはなぜ怖いのか 転倒や低栄養の原因に
筋肉量は20代後半から30歳代をピークに、それ以後は徐々に減少し、65歳以上の4~5人に一人、80歳以上では2人に一人がサルコペニアになっているという統計もあります。
高齢化社会でサルコペニアが注目されるのは、高齢者の生活の質に大きく関わるからです。
サルコペニアになって脚の筋肉が減少すると、つまずいたり転倒しやすくなります。それが大腿骨や骨盤の骨折を引き起こして寝たきりの原因になることもあります。
またサルコペニアになると体が動きにくくなり、活動量が減ります。活動量が減ると食欲が低下し、摂取する栄養量も少なくなります。健康を維持するのに必要なタンパク質やエネルギーなどが不足し、低栄養状態になります。
低栄養になるとサルコペニアがさらに進行し、悪循環が始まってしまいます。こうなると、自体は深刻です。
高齢になって筋肉量が減ってきても、普通に日常生活を送っている人はたくさんいます。
しかし、それは「どうにか問題なく生活できている」状態であり、いつ転倒などのアクシデントを起こしても不思議ではありません。
「老化は脚から」と言われるように、加齢に伴う筋肉量の減少はまず脚から表れます。
何も対策をしなければ、60歳代では20歳の時と比べて一般的に腕の筋肉量は10~15%、脚の筋肉量は40%も落ちてしまいます。
ある程度の年齢になったら、意識して運動していない限り「筋肉は落ちている」と自覚しておくべきでしょう。
次にサルコペニアのセルフチェック法について紹介します。
セルフチェック基準 握力の強さやふくらはぎ
サルコペニアには、自己チェックをする基準があります。
ある程度の年齢に達したら、自身の筋肉量や筋力が減っていないか調べてみましょう。
筋力をチェックする
まず、握力を計ります。
男性で26kg未満
女性で18kg未満
であれば、筋力の衰えが疑われます。
握力計がなければ、次の動作を行ってみましょう。ひとつでも当てはまると、筋力の衰えが疑われます。
2 片足立ちを1分間続けられない
3 片足立ちをしたまま靴下を履くことができない
もうひとつ、歩行能力もチェックします。
歩行能力をチェック 横断歩道を青信号で渡りきれるか
加齢により脚の筋肉が衰えると、歩く速度が遅くなります。
秒速0.8m以下になると歩行能力の衰えが疑われます。
歩道の長さや青信号の時間は交通量によって異なりますが、横断歩道を青信号で渡れれば問題ありません。渡りきれなければ、歩行能力の低下を疑いましょう。
筋力と歩行能力をチェックして、どちらかひとつでも当てはまれば、次に筋肉量をチェックします。
以下のいずれかが当てはまる場合は、サルコペニアが疑われます。
体組成計がある場合
筋肉率を計測します。以下に当てはまればサルコペニアです。
男性 筋肉率27.3%未満
女性 筋肉率22.0%未満
体組成計がない場合
指輪っかテストを行います。
両手の親指と人差し指で輪っかを作り、ふくらはぎの最も太い部分を囲みます。
指がくっつくかどうかで、サルコペニアの可能性を計ります。
・指がくっつかない→サルコペニアの可能性は低い
・ぴったりくっつく→サルコペニアの可能性がある
・指が重なってしまう→サルコペニアの可能性が高い
老化しやすい脚(ふくらはぎ)の太さで、サルコペニアの危険性をチェックするわけです。
いつでもどこでもできるチェック法なので、不安な方は実践してみてはいかがでしょうか。