雑誌「週刊ポスト」に、「スポーツ史上最驚の”大逆転・大番狂わせ”」という特集がありました。
その中で、1987年5月17日に水戸ゴルフクラブで行われた、第13回日本プロゴルフマッチプレー選手権決勝、高橋勝成選手とジャンボ尾崎選手の試合の様子が記事になっていました。
試合中どんなことを考えていたのか、高橋さんご本人が証言されています。
以下に抜粋して紹介します。
(このコンテンツは雑誌週刊ポスト2016年11月18日号(Amazon)17ページを参考にしています)
高橋勝成選手「”相手は別次元”と割り切る」
高橋さんは、ジャンボ尾崎選手との実力の差を痛感していました。
決勝前夜、「どうすれば勝てるか」をずっと考えていましたが、実績も技術もジャンボさんが上。ドライバーの飛距離は30ヤード、セカンドの番手は3つも違う。
勝てる要素が見当たらなかったからこそ、”相手は別次元”と割り切ることにした。
ショートホールの番手も、ドライバーの攻略ルートも違って当然。失うものはないから自分のゴルフをやろうと考えると、すごく楽になりましたね。
対等に勝負できるのはパットだけ。バーディが取れる距離に寄せることだけ考えて胸を借りました。
36ホールの長丁場。私が林の中からバフィー(4W)を折りながら打ったショットがグリーンエッジまで届いたり、ジャンボさんのドライバーがOBゾーンから木に当たって戻っていたのに、それを知らずにギブアップしてしまったりと予想外のことばかり。
終盤はさらに劇的な展開の連続でした。
高橋選手「実力で勝ってはいない」”奇跡の連続”の終盤
戦いは終盤に入り、熾烈を極めます。
33ホール目からは奇跡の連続です。
ジャンボさんがグリーンを外し、”これで勝った”と思ったら8メートルのパットを決められ、36ホール目には50ヤードからピン横2センチに寄せる神技を見せられ、土壇場で追いつかれてしまう。
エキストラの1ホール目、私が2メートルのパットを入れ、ジャンボさんが1.8メートルを外して決着。
奇跡続きで、終盤はもう一人の自分がプレーしているようでした。
最後のパットはジャンボさんのこの日唯一のミス。だから今でも相手に実力で勝ったとは思っていません。