女子バスケットボール日本代表のトム・ホーバス監督が、著書「チャレンジング・トム」で「地味な基本の反復練習」の重要性を解説されています。
144~146ページから、一部を抜粋して紹介します。(この本は参考になりますよ!)
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チャレンジング・トム 日本女子バスケを東京五輪銀メダルに導いた魔法の言葉
海外基準では「日本のフットワークは全部トラベリング」欠けていた技術
ホーバス監督には理想とするプレーがあります。
なぜ私がそこまでインサイドピボットにこだわったのか?それは「きれいなバスケットボール」をしたかったからです。
私のイメージする「きれいなバスケットボール」とはチームバスケットボールです。
ボールが動いて、選手たちもそれに連動する。
誰ひとりわがままなプレーをせずに、個々のスタッツ(成績)も気にせず、それぞれの役割をきちんと果たせば、それは「きれいなバスケットボール」になります。
この理想実現に必要な技術があるのですが、それは日本代表に欠けているものでした。
そのためにはインサイドピボットやジャンプストップと呼ばれるフットワーがとても大切になります。
表現は悪いかもしれませんが、日本の女子バスケットボールはフットワークがよくありません。
他の国のコーチたちと話をしても、たいてい「日本のフットワークは全部トラベリング(ボールを持って3歩以上歩いてしまう反則)だよ」と言われます。
私もバタバタする日本のフットワークは好きではなかったので、厳しく追及しました。それくらいフットワークがよくなければ、きれいなバスケットはできないのです。
”トラベリング”が放置されているのは審判の認識が日本と海外で違うからです。
試合中にトラベリングかどうかを判断するのは審判です。
その審判が「トラベリングではない」と判断をして、その笛を吹かなければ「大丈夫じゃないか?」と思われるかもしれません。
確かに日本の審判であれば吹かないかもしれません。国内リーグでも吹かれていないのでしょう。でも海外の審判は吹きます。
実際に2017年のアジアカップ前にヨーロッパ遠征をおこないました。審判は現地の方です。
その中でターンオーバー(ミスや反則により相手に攻撃権が移ること)が20個という試合がありました。うち7個がトラベリングです。
それでは「きれいなバスケットボール」どころか、バスケットボールそのものができません。
勝ち負け以前の問題です。
ホーバス監督とチームが掲げる目標を達成するには、この欠点の修正は必須でした。
私たちが金メダルを目指すオリンピックでは、日本の試合を日本人の審判がジャッジすることはありません。
必ず当該国以外の審判が笛を吹くことになっているので、フットワークは直しておかなければならなかったのです。
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地味で基本的な練習の反復が「ターンオーバー最少」の結果を生む
欠点の修正には、地味で基本的な練習の反復が必要でした。
チームが勝つために、私たちの目標である東京2020オリンピックで金メダルを獲るために、ターンオーバーをしないバスケットをする必要があります。
地味な練習かもしれません。小学生がやるような練習メニューを、日本代表の選手が細かく注意を受けながら、毎日のようにやるわけですから、「またか」と思う選手がいてもおかしくはありません。
地味な反復練習は明らかな結果をもたらしてくれます。
しかしそれが東京2020オリンピックで一試合の平均ターンオーバー数が10.3個、出場12ヶ国中一番少ない結果につながるのです。
最下位は中国で19.3個。ブービーは優勝したアメリカです。(16.7個)。
しかしそのアメリカでさえ、決勝戦は12個しかターンオーバーをしていません(日本は10個)。それが勝敗を分けた要因ではありませんが、不用意なターンオーバーが命取りになることをアメリカもわかっていたのでしょう。
地味な作業、小さな仕事であっても、欠かせない役割を果たしています。
一見すると地味に見える基本的な作業も、大切に、丁寧に積み重ねていくことで大きな結果に結びつきます。
それ自体が大きな要因になるとというよりも、目に見えないような小さなところで、とても重要な役割を果たしている。
取るに足らないような小さな仕事、小さな作業も、大きな何かを作り上げるうえでは何ひとつ欠かしてはいけない大切なパートなのです。
神は細部に宿ります。
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