卓球の平野美宇選手は2016年からプレースタイルを攻撃型に変化させています。
 
その際のトレーニングの様子などが、平野選手のお母さん真理子さんの著書「美宇は、みう」で紹介されていました。


 
同書の103~106ページから、一部を抜粋して紹介します。
 
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平野美宇選手 2つの難点 体の使い方

攻撃型へのスタイル変更をするにあたり、美宇選手は二つの欠点を指摘されていました。
 
それを改善するため、コーチから体の効果的な使い方の指導を受けます。

美宇が中澤コーチのご指導のもとで目指した、攻撃型のプレースタイルについて、もう少し詳しくお話ししましょう。
 
まず、プレースタイルを変えるにあたり、中澤コーチは次のような美宇の難点を指摘しました。
 
一つは、ラリーのスピードが早くなると腕だけで打ってしまう。いわゆる手打ちになること、もう一つは体が上下動しすぎる点です。
 
現在の打ち方ではパワーを十分に前方へ出すことができず、威力のある球が打てないということでした。
 
これらを改善するため、中澤コーチはボールに力がしっかりと伝わる体の使い方を指導してくださったのです。
 

フィジカルトレでボールにパワーを伝えるスイングへ

美宇選手は強打を打つフォームの確立、そしてそれを実現させるためのフィジカル作りを始めます。

具体的には、重心を低くして右足にタメを作り、腰を大きくひねって左足に体重移動する。上半身は少し遅れてついてきて、最後に腕がついてくるイメージです。
 
その際、体の軸を意識し、腕は思い切り振り切ること。
 
そうするとスイングがスムーズになって連動性が生まれ、パワーがボールに伝わって強打できるということでした。
 
ただ、それを可能にするには強い足腰が必要ということで、美宇は体幹トレーニングやウエイトトレーニングを取り入れ、フィジカル面を鍛えました。
 

※画像はイメージです

トレーニングの成果は見た目にも変化を及ぼしました。

その成果は美宇の体つきを見れば一目瞭然。
 
美宇が高校一年の夏に会った時には、すでに肩周りがたくましくなった気がして、「美宇、大きくなった?」と聞いたら、「そう!ムキムキでタンクトップが着られない」と笑っていました。
 
足の筋肉も以前よりついて、ずいぶんアスリートらしい体になったと思います。
 
最近の美宇のプレーを見ていても、下半身に踏ん張りが利いていて、以前は続けて二、三球しか打てなかったフォアの強打も、四球、五球と立て続けに打てるようになったと感じます。
 
また左右に振られてもバランスをくずすことなく、しっかりと踏みとどまって打てていると思います。
 

三球目後の体の戻りを速く

「打つ」ためには、当然打つための体勢を作らなくてはいけません。
 
美宇選手はその動作もスピードアップさせています。

スイングしたあとの体の戻りも速くなりました。
 
例えば、卓球には「三球目攻撃」「五球目攻撃」という「攻撃の鉄則」があります。サーブを出したあと相手のレシーブを打ち返す「三球目攻撃」。さらに返ってきた球を攻めるのが「五球目攻撃」で、ここでいかにポイントするかが大切になります。
 
中澤コーチいわく、美宇は三球目を打ってからの体の戻りが遅く、次の球に備えるのが遅れるため連続攻撃ができない。克服するには体をいち早く戻し、相手の位置や状況を見て厳しいコースに五球目攻撃を決める必要がある。
 
たとえ決まらなくても質の高い球を打っておけば、次の打球がチャンスボールになるとのことでした。
 

その他の技術も進化しました。

バックハンドの進化とミドル処理の上達

体の使い方を改善することで、得意だったバックハンドをさらに強化させています。

もともと得意なバックハンドも、より得点力を上げるため、右肩の肩甲骨をグッと入れて、しっかりスイングするなど、やはり体の使い方を教えてくださいました。
 
それができるようになったことで球威が増し、両ハンドともパワーとスピードのある連続攻撃ができるようになったのだと思います。
 

 
それからミドルの処理がうまくなったと、私は感心して見ています。
 
卓球でミドルというのはボディーに近い位置のことで、右利きでいうと、ちょうどウエアのパンツの右ポケットあたり。
 
ミドルに攻められたボールは、一瞬、フォアハンドで打つかバックハンドで打つか迷い、ミスが出やすいものですが、美宇は判断と反応がとても速くなりました。これも強いフィジカルがあってこそだと思います。

進化したのはフィジカル面だけではありません。
 
メンタル面でも成長しています。

メンタルを強くするトレーニングは”コミュニケーション”

美宇選手のメンタル面を進化させたのは、ちょっと意外な”トレーニング”でした。

中澤コーチの指導はメンタル面にもおよびました。
 
スポーツは心技体と言われるように、いくら体力や技術が向上しても、心の成長なくして結果はついてこないと私も思いますので、中澤コーチの教えにはとても共感できました。
 
美宇は、とても芯の強い子ですが、時々それが頑固さになって、プレーや気持ちを切り替えられないところがあります。
 
中澤コーチもそれをお見通しで、もっと柔軟な考え方を身に付けさせようとしました。
 

 
本人も心当たりがあったようで、「自分は変にプライドが高いというか、人見知りのところがあって、特定の人としか話さなかった」と言っていますが、そんな美宇に中澤コーチは「自分で壁を作らず、いろいろな分野や考え方の人と積極的にコミュニケーションすること。
 
すると視野が広がり、自分の幅が広がる。それは卓球の幅が広がることでもある」と教えてくださり、美宇も納得し実践したのでした。
 
素晴らしいコーチに巡り会えた美宇。本当に幸運で強運な子だと思います。


 
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