女子バスケットボール日本代表を率いたトム・ホーバスコーチが著書「チャレンジング・トム」で、日本の「先輩・後輩」関係について語られています。
コーチは基本的に「先輩・後輩」の関係に好意的ですが、条件も挙げています。
同書の59~62ページから、一部を抜粋して紹介します。
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ホーバスコーチ「先輩・後輩の関係は良いこと」ただしそれは…
ホーバスコーチは、日本の「先輩・後輩」という関係を好意的にとらえています。
しかし、それには条件があります。
いつからかは知りませんが、日本は「先輩・後輩」というリレーションシップ(関係性)があります。私はそれをいいことだと思っています。
ただし、それはコートの外での話です。
学生時代にスポーツをやったことのある人であれば、もしかすると「コート中では先輩も後輩も関係ない」と言われたことがあるかもしれません。
一方で「先輩・後輩」の関係に縛られて、苦しんだ方もいらっしゃるでしょう。やはりコートの中では「先輩・後輩」を見たくないですし、必要はありません。
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この関係は「しがらみ」とも言えます。
それが競争に影響を与えるようではいけません。
スポーツはコンペ(競争)です。特に日本代表に入ろうと思えば、最終メンバーの枠は12しかありません。それを30名前後の候補者が競っていくのです。
もし後輩が先輩に対して「ガツガツやって、私が勝ってしまったら先輩に悪い」という考えを持っていたら、その選手は必要ありません。
「チームに入りたければ100%を出して。先輩・後輩は関係ないよ」と、よく言っています。
さすがに勝負の世界で生きている選手たち、特に学生でない彼女たちはそうした遠慮はなくなっています。
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リスペクトは競争の場以外で示すべき、といのうがホーバスコーチの考えです。
しかし社会に出た今でも、そうした先輩・後輩の関係が仕事などに影響するのであれば、とてももったいないことです。
それぞれが持つ100%の力を出し切ることで、その人たちが所属するリレーションシップがあっていいというのは、リスペクト(尊敬)が必要だからです。リスペクトがなければいいグループも、いいチームも、いい会社もできません。
コート内であっても一定のリスペクトは必要ですが、それは必要最低限に収めておいて、コート内では競争に比重を置くべきだと考えます。リスペクトはコートの外でしっかりと示しましょう。
アメリカで「先輩・後輩」といった関係ができるのはまれだそうです。
それをホーバスコーチは残念に感じています。
私は日本のコート外での「先輩・後輩」のリレーションシップは最高だと思っています。アメリカにはそうした関係があまりありません。
どちらかといえば、ひとりひとり。
まずは自分、自分、自分。チームありきではありません。それは私がアメリカのよくないと感じる側面のひとつです。
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