「短距離を速く走れるようになるための練習・トレーニング」と聞くと、何を想像するでしょうか?

・走るフォームのチェック
・負荷をつけてのランニング
・ダッシュの繰り返し
・筋力トレーニング
 
・・・あたりが多いでしょう。
 
このコンテンツでは、短距離走のための体幹トレーニングを紹介します。

短距離を速く走るための体幹トレーニング

確かにこれらも効果的な方法ですが、青山学院大学陸上競技部・短距離種目の安井年文(やすい としふみ)監督によると、

体幹を固定して、膝のクッションを使わないジャンプをすることで、しっかりとしたカラダの軸を養うことができます。
 
負荷が高いのであまり数をこなせるものではないですが、普段短距離走の練習をしていない一般の方であれば、これをやるだけでも速く走れるようになりますよ。
 

なのだそうです。
 
つまり、身体の軸となる体幹を強化する練習・トレーニングでも、短距離を速く走れるようになるというわけです。
 
安井コーチによるその具体的な方法が、雑誌「Tarzan」2015年 11/12号の記事で解説されていました。
 
専門的ではなく、いますぐにでもできる内容です。記事のポイントを紹介します。




STEP0 基本姿勢

まずは基本姿勢から。
 
理想のフォームの基礎となる正しい立ち姿勢を身につける。
 
■背すじを伸ばせば記録も伸びる!
立ったときに、背すじが地面と垂直になるようにする。頭から一本のヒモで吊るされているようなイメージ。
 
腰が落ちて骨盤が寝ていたり、猫背だと、上半身と下半身の力を連動させることが難しくなってしまう。
 
立ち姿勢は走りの基本、次からの全てのSTEPもこの姿勢から始めるようにしよう。
 
■正しい姿勢をキープするためのストレッチ
・肩甲骨の間で手のひらをを合わせて胸を開く(背中で合掌する動作)
背すじが伸び、肩まわりが柔らかくなる。きつい場合は下のほうで合わせる。
 
・手をクロスして甲を合わせ、頭上に伸ばしていく
両腕が耳の横に来るように意識する。練習中にもマメに姿勢を確認したい。
 
猫背では上・下半身の力の連動が起きず、以下に紹介する動作が無意味になってしまいます。まずは姿勢をビシッと決めましょう。
 
正しい姿勢を身につけたら、冒頭で紹介したジャンプをやってみます。




STEP1 ジャンプ
両脚ジャンプでブレない軸作り。これだけでも足は速くなる!
 
■膝のクッションを使わずに真上に跳ぶ
足を肩幅に開き、体幹を意識しながらカラダを一本の棒にするイメージでジャンプする。
 
着地は足の裏全体だが、母趾球を中心に重心をかける。上半身がブレないように注意。小刻みに10回、大きく10回の計20回行う。
 
注意点はありますが、動作としては極めて簡単ではないでしょうか。
 
次に、速く走るためのストレッチを。




STEP2 ストレッチ

肩・背中・足の柔軟性を高めてしなやかな走りに繋げる。
 
■肩甲骨周辺を柔らかくし、腕振りをスムーズに
両手でタオルを持ち、頭上に上げる。そのままタオルを背面に回す。右回し、左回し(左右の手を交互に上下させる)を交互に10回行う。
 
カラダはまっすぐに前を向いたままで、上体が左右にブレないように注意。
 
肘は伸ばしたままにする。難しければタオルを長めに持ち、可能な範囲で後ろに持っていくようにする。
 
■背中と腰を伸ばして上半身の背後をほぐす
四つん這いの状態から両手を少し前に出し、息を吐きながら背中を丸めてストレッチをする。
 
このとき首も丸めて、頭が両腕の間に入るように。背中だけでなく、肩の周辺、腰も同時に伸びる。30秒程度を目安に行う。
 
■肩周辺の柔軟性は速く走るために必須
膝立ちの状態から肘を伸ばして両手を大きく前に出し、手のひらを地面につける。息を吐きながら背中を反らすように伸ばし、肩周辺の筋肉をストレッチする。
 
このとき頭も地面に近づけるようにする。30秒程度を目安に行う。
 
■下半身の柔軟性が大きなストライドを生む
基本姿勢(上のSTEP0)の状態から歩き出し、3歩目で上体を倒し両手を地面につける。難しければ可能な範囲で構わない。
 
前の脚はつま先を上げて膝はできるだけ伸ばし、後ろの脚は軽く膝を曲げる。猫背にならないように注意し、左右交互に各10回程度行う。ハムストリングスと大臀筋が伸びていることを意識する。
 
いずれも動作としては難しくありません。
短距離走の記録向上に関心のある方は、実践してみて下さい。
 
このコンテンツはターザン 2015年 11/12号(Amazon)30~31ページを参考にしました。記事では写真付きで解説されています。より理解を深めたいなら、参考にして下さい。