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今回が最終回です。

ラダーを使っての練習「頭が動かない」「無音で」を目指す

練習も少しずつ本格的になってきます。

ラダーを並べ、1マス1歩で、熱い鉄板の上を駆け抜けるイメージで走る練習をする。着地の直後に腿ではなく足を引き上げて走る練習である。
 
やってみるが、音が激しい。吉野先生のお手本を見ると、頭の位置がまったく動かずに進んでいくのがわかる。
 
それを見てから走ると、自分が飛び跳ねるようにしてぴょんぴょん走っているのが、よくわかる。

「頭が動かない」「音がしない」のはひとつのポイントのようですね。
 
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目を閉じて坂道を駆け上がる練習も

独特な練習法もあります。

ラダーの後、目をつぶって坂道を駆け上がる練習をする。吉野先生の肩に片手でつかまり、いっしょに走るのである。
 
障害物は何もない場所とわかっていても、こわくて、力が入ってしまう。
 
幾度かくりかえして慣れてくると、目を開けて走っているときより、坂道がなだらかであっという間に感じられてくる。
 
目で見て「坂だ」と思うと、体が上がることを意識してしまう、と吉野先生。
 
つまりこれは、坂を坂と意識せず、平地を駆けるように足を引き上げて走る練習というわけだ。
 
ひとりで、目を閉じて坂を上がる練習をする。
 
ふわっと、となる瞬間があって、「あっ」と思う。それは、坂を上がるのが楽、という感覚で、それがつまり、ちゃんとできた、ということ。
 
むむー、しかし、1回「できた」と思っても、次にはまた、あれれ、という感じに戻ってしまう。裸足走法、なかなかどうして、むずかしい。

確かに目をつぶって走ると、普通のランニングでは使わない感覚が鍛えられそうです。
 
単なる「走り方」とも言えるわけですが、奥が深いことがわかります。
 
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ベアフット双方はどれくらいで体得できる?

ベアフット走法は、果たしてどれくらいで体得できるものなのでしょうか?

またしてもなかなか入らないシューズをなんとか履こうとしながら、「私のように体のものわかりの悪い人間が、一週間に一度、5本指シューズで練習して、体得できるのにどのくらいかかりますか」と訊いてみる。
 
「1年ですね」と、吉野先生。
 
一週間に一度の練習で、1年!うすうす感じていたことだが、この走法がいかに独特で、難しいか、その答えで思い知る。

角田光代さんのベアフットランニング体験談は以上です。
 
管理人の感覚であれば、週イチ1年でひとつの技術が身につくのであれば、それほど難攻不落ではないと感じます。
関心のある方は吉野氏に師事するか、ベアフット走法の教材で研究してみてはいかがでしょうか。
 
「Number Do」の記事には、さらに詳しい解説や角田さんの感想があります。参考にして下さい。
 
このコンテンツは雑誌 Sports Graphic Number Do Early Summer 2013 太らない生活2013(Amazon) 117~119ページを参考にしました。