マラソンや駅伝の中継を見ていると、ランニングフォームの良し悪しについて解説されることがあります。
 
フォームの評価を決める要素として、パーソナルトレーナーの中野ジェームズ修一さんは
 
・頭
・肩甲骨

 
の二点を強調しています。

それぞれについて解説します。
 
(このコンテンツは雑誌「週刊新潮」2016年4月7日号114ページを参考にしています)

頭がぶれないこと

ランナーを見る最初のポイントは頭です。
 
中野さんは、アマチュア選手とプロアスリートの決定的な違いは「頭のぶれがあるかどうか」としていて、トップ選手ほど頭がぶれないのです。
 
ランニングでは、レース後半になっても頭がぶれない人ほど強いと言えます。
 
プロのカメラマンが「トップ選手ほど表情が撮りやすい」というのは、頭がブレないからにほかなりません。
 

頭のブレと体幹・骨盤

頭のブレを防ぐには、体幹が安定している必要があります。
 
ここで注意点をひとつ。
 
「体幹が安定している」とは、お腹がガチッと固定されていることではありません。
 
走ると両脚が交互に前後に動くので、骨盤は前後に大きく動きます。すると当然、腹部も前後に振られることになります。
 
ここで骨盤が左右に動くと効率の悪いフォームになり、また腹部が固定されていたらストライドが狭くなり、スピードが落ちてしまいます。
 
骨盤を前後にどんどん動かし、ストライドを大きくしてスピードを上げても、頭はまっすぐで動かないのが、効率の良いフォームです。
 

肩甲骨の柔軟性

ストライドを広げるには、腕を前後に大きく振る必要があります。そのためには、肩甲骨は柔らかく、よく動いたほうが良いのです。
 
しかし、トップ選手が全て肩甲骨を柔軟に使っているかというと、必ずしもそうではありません。肩甲骨は固いまま、腕を力任せに振る選手もいます。
 
特にケニアの選手など、筋肉質で脚が長く、ストライドの大きな外国人選手はこの傾向があります。

力を抜くことも大事

しかし中野さんは、
 
「本来スポーツは力を入れるよりも、力を抜くことの方が大切です。ずっと力を入れっぱなしだと、エネルギーを使い過ぎ、肝心な時に力が入りません」
 
としています。
 
ランナーの腕の振りも、一瞬力を抜いて、次に力を入れることで大きな推進力を生み出せて、エネルギー効率も高まります。
 
日本人選手は骨格的にストライドが狭いので、世界レベルで戦うためには、よりエネルギー効率の良いフォームを身につけなくてはいけません。
 
以上から、中野さんの結論は
 
体の軸が安定していて頭がブレず、腕や骨盤はよく動くのが良いフォーム
 
ということになります。