雑誌「剣道時代」の連載「対談 小林英雄の「卒爾ながら・・・」に、横浜市立潮田中学校剣道部の大塚陽介監督のインタビュー記事がありました。
 
一部を抜粋して紹介します。
 
大塚監督による部運営や指導の秘訣などが語られています。

このコンテンツは雑誌剣道時代 2015年 01月号(Amazon)96~101ページ

>>剣道上達革命(DVD2枚組)
世界選手権覇者・香田郡秀八段に直接質問できる180日間のメールサポート付き(無料)です。

試合における心がけや工夫 選手の耳にイヤホンを入れて指示も

小林 試合展開についても指導していることはありますか。
 
大塚 二本負けはなるべく避けることを共通理解としています。実力差があれば仕方のないことですが、自分の焦りや気持ちの有り様で打たれなくてもいい場面で取られることが多々あります。
 
小林 次につなげるためにも最低でも一本負けですね。
 
大塚 そうです。勝ちに等しい引き分けもあります。
 

 
小林 本当の勝負師は負けないですからね。宮崎正裕君(現神奈川県警察首席師範)は現役時代、まず負けなかったです。
 
大塚 わたしが潮田中に着任した頃、宮崎先生に稽古をしていただく機会がありました。強かったですね。とても勉強になりました。
 
小林 全日本選手権大会優勝6回ですからね。
 
大塚 宮崎先生との稽古から学んだことや、その他、自分で考えたことを練習試合のとき、リアルタイムで伝えたいと思ったことがあります。それで、生徒にトランシーバーを持たせて指示を出したこともありました。
 
小林 生徒の耳に無線イヤホンを入れ、指示を出すやり方ですね。成果はどうでしたか。
 
大塚 まだ中学生ですから、わたしが「ここだ」と感じるところで指示を出すと理解してくれました。ただ、ずっと続けることは難しいです。
 

 
小林 なるほど。中学生や高校生の試合では引き技で勝負が決まることがよくあります。そのあたりはどのように指導をされていいますか。
 
大塚 実力が拮抗すればするほど構え合っての技が決まる確率が低くなります。現実には3分間の試合時間で半分以上が鍔ぜり合いになることもあるので、鍔ぜり合いから打つことも稽古しています。
 
小林 鍔ぜり合いからの技が巧みな選手はわかっていても打たれてしまいますね。原則は鍔ぜり合いで押し返してきたところを狙いますが、巧みな選手は自分の勘所を知っています。
 
大塚 鍔ぜり合いは肘が伸びた瞬間が打ち間ですので、そこを狙うように指導しています。

京都の専門店 剣道防具工房「源」

大塚監督のユニークな練習メニュー 素振りは一日千本!

小林 過日、稽古をゆっくり見させていただいたのですが、実にユニークな指導ですね。ケンケンさせてから面を打たせる稽古は初めて見ました。
 
大塚 片足でやる素振りや足さばき、打ち込みですね。
 
小林 そうです。中学生は体が軽いからできるのかな。わたしにはできないですよ。
 
大塚 わたしも見本を示すときは必死です(笑)中学生は身体の柔らかさがあるので可能です。
 

 
小林 素振りは一日千本を原則としているそうですね。それもすごい数ですよ。
 
大塚 木刀と竹刀、それに軽めの竹刀の3種類を用いています。バランス感覚を養うために雨水を流すトイを半分に切手、青竹踏みのようなかたちにし、その上に乗って素振りをすることも取り入れています。
 
小林 アイディアがすごいですね。この素振りはどんな好影響をもたらしていますか。
 
大塚 足さばきと重心移動だと思います。「試合でこういった技を打たせたいから、足さばきと重心移動を徹底的に稽古しなければならない」といったように生徒にはなぜこの稽古をしなければならないのかを説明するようにしています。
 
小林 足さばきではいまでは珍しい歩み足も取り入れていますね。
 
大塚 はい。二足一刀で左足に乗っている感覚を覚えさせるようにしています。
 
小林 稽古を重ねないと、二足一刀で打つこともなかなかできないですね。
 
大塚 試合で使う場面はなかなかないかもしれませんが、足を止めない、足を常に機能させるためにも歩み足は重要な稽古だと思っています。
 
小林 技を出すとは「右足は攻め足、左足は打ち足」と言われていますが、昔は「トンボが飛び立つように」と教えていました。
 
大塚 色なくパッと打つという教えですね。そのためには左足を継がないようにしないといけないですね。掛かり稽古でも足を継がせないように指導しています。足を継ぐことで打つタイミングが遅れます。それでは実戦で打ち勝つことができません。

中学生でも諸手突きを稽古 その理由は

小林 中学生は突きを有効打突と認めていませんが、潮田中では稽古中、諸手突きを取り入れていますね。
 
大塚 突きは足腰がしっかりしていないとできませんので、腰から打つ感覚を覚えるためにも重要です。1年生はなかなかできませんが、徐々に覚えていきます。
 
小林 少年剣道の教え子が潮田中に通っていますが、上達が目に見えます。打ちが強くなっています。
 
大塚 打ちの強さは有効打突の重要な基準です。肩・肘・手首を使い、しっかりと打ち切るように指導しています。「手で打つな足で打て、足で打つな腰で打て」の教えの通り、身体全体を使って打てるように基本を繰り返しています。
 

 
小林 稽古メニューを見せていただきましたが、とにかく細かいですね。「素振り」「足さばき・踏み込み」「補強稽古」「基本稽古」「追い込み稽古」「応じ技稽古」「引き技稽古」と基本的な内容をすべてこなすだけでも相当な時間が必要です。
 
大塚生徒はよくついてきてくれていると思いますが、剣道は単純な反復練習をこなさないと身につかない部分が多々あります。

割引あり!剣道時代定期購読はこちら


 
少年剣道・上達プログラム(DVD)
返金保証、菅野館長によるメールサポートの特典付きです。